スタッフのらくがき帳

鉄雄のこと(第8回)  香田です!

(………あかん、鉄ちゃん完全に鼻をいわされとる………)

 

最初の一撃でそう思った瞬間、容赦のないヒザ蹴りが鉄雄の顔面を直撃。

 

このままだと間違いなく鉄雄は殺される。

 

ボクはすぐに止めに入りました。

 

「にいさん、堪忍したってください、おねがいします。」

 

そう言おうとしたんです。

 

でも実際には「にいさ……」くらいのところで、ボクのみぞおちに強烈なボディブローが。

次の瞬間、フワッと気持ち良くなったので、

(ああ、アゴを打ち抜かれたな)と遠のく意識の中で考えました。

 

 

意識が戻ると路上にころがされていました。

 

横で鉄雄が唸っている声を聞いて、

(ああ、生きとる)と妙に安心したことをよく覚えています。

 

「ゴーガン、ガジドガゴガ………。」鉄雄が何か言いました。

ボクにはそう聞こえたんです。

 

おそらく「こーやん、ワシの顔どないなっとる?」と聞きたかったのでしょう。

 

ひと目見て「これはえらいこっちゃな」と思ったのですが、

鉄雄が不安がるといけません。

 

「おーおー、金かかるで鉄ちゃん。鼻どこ行ったかわからんようになっとる。」

精一杯冗談めかして、ゲラゲラ笑いながらボクは言いました。

 

でも内心不安でいっぱいだったんです。

とりあえず鉄雄を病院へ連れて行かなければと考えたボクは、

「救急車呼んでくる」と告げ、その場を立ち去ろうとしました。

 

すると鉄雄はボクの腕を掴んで、よろよろと起き上ったのです。

みっともないから呼ぶな、という彼一流のプライドでしょう。

 

ボクは鉄雄に肩を貸して、二人で歩くことにしました。

 

ふと路上を見ると、ボクらがころがっていたすぐそばに、金が置いてある。

手にとってみると、10万円の束がふたつ輪ゴムでゆわえてありました。

たぶん、治療費のつもりでしょう。

 

「鉄ちゃん、オマエ相当上等な男稼業のにいさんにケンカ売ったんやな。

 まあボコられても気にすなや、相手が悪いわ。」

 

そう言うとボクは、またゲラゲラ笑いました。

 

 

相当歩いたように感じたのですが、福島でやっと病院を見つけました。

 

救急口から入って人を呼ぶと、出てきた看護婦さんが鉄雄の様子を見て

すぐにストレッチャーを持って来ました。

 

明るいところで鉄雄を見て、鼻がへしゃげているだけでなく、上唇もスパッと切れて

前歯もなくなっていることに気付きました。

 

鉄雄は即入院して手術、ボクもその日は朝まで付き添いました。

 

ボクはその時、全く気がつかなかったのですが、3日過ぎても体が痛いので

家の近所の病院でレントゲンをとってもらいました。

 

ボクもろっ骨を3カ所いわされとったんです。

 

ボクらはころがされた後も、かなりボコボコにされたみたいです。

 

       (第9回に続く)

2011年06月19日 | カテゴリー:スタッフのらくがき帳

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