スタッフのらくがき帳

鉄雄のこと 番外編 『恋の季節』 前編  香田です!

ボクには鉄雄に感謝しなければならないことが数多くあります。

進級のこと、大学合格のこと、ヤバい喧嘩に何度もつきあってくれたこと、

数え上げたらキリがありません。

 

でも一番今でも感謝しているのはTちゃん(ブログ:コロンの印象 参照)と交際する

きっかけを彼が作ってくれたことです。

 

 

「なあ鉄ちゃん、ええと思わんか、Tちゃんが授業中だけメガネかけてるとこ。

アメリカ映画に出てくる美人秘書みたいなカンジやと思わんか?

ちょっと話し方が東京弁なとこもええし。」

「ワシあかんねん、ああいうお高くとまったガリ勉女。

そうかぁ、こーやんはあんなんがタイプなんか、ふーん……。」

 

明朗快活で品行方正、勉強が良く出来て美人。細身でスタイル抜群なのに巨乳。

カバンもペッタンコにしてないし、引き摺るような長いスカートもはいていない。

男も女もアホでヤンキーばっかりのうちの学校で、

Tちゃんはまさに『掃き溜めに鶴』でした。

 

2学期の席替えの時、ボクはTちゃんの近くの席が当るように神に祈りました。

でも結果はTちゃんが後ろから2番目で、ボクの席は1番前。

鉄雄がボクの近くだったのが幸いでしたが、それでも泣きそうでした。

 

Tちゃんの真後ろの席を当てたノブオは大喜びです。

 

「ラッキー!いっちゃん後ろや、ここやったらよう寝れるわ。」

 

(……ちゃうやろ、Tちゃんの後ろやから喜んでんねやろ……。)

 

このノブオという男は中途半端なヤンキーで、ボクが嫌いなヤツだったのですが、

ホントにこの時は、いつか難癖をつけてシバかなあかんと思いました。

 

(……いや、待てよ、ノブオに脅し入れて席替ってもうたらええんや。いや、でもな

  そんなことしたらワシがTちゃん好きなこと、クラス中にモロばれやしな……。)

 

ボクが思いあぐねていると

鉄雄がノブオとその隣の席を引いたばーやん(ノブオのツレ)に近づいて行って言いました。

 

「おまえら目ぇ悪かったの、ワシらが替ったるから前行けや。

 こーやん、すまんけどノブオと席替ったってくれや!」

 

鉄雄の眼には (もしNОやったらこの場でシバくど) という強い意志がありましたから、

ノブオもばーやんも無言で席を譲ったのです。

 

 

「おまえなぁ、もうちょっとこう、コミュニケートする努力をせぇや。

 前に二人で京都でナンパした時、フツーにしゃべとったやろ、あれでええんや。」

「わかっとんねん、ワシも。でもな、あかんねん。

 あの瞳で見つめられたらな、なんもしゃべれんようになるんや。」

 

ボクが全くアクションを起こさないことに業を煮やした鉄雄は、

その情報収集能力をいかんなく発揮し、Tちゃんがチューリップのファンであることを

突き止めました。

 

そしてその情報を押えた上で、

休み時間に女ともだちとおしゃべりしているTちゃんに話しかけたのです。

 

「じぶんらさぁ、音楽とかいつも何聞いてんの?」

「チューリップ!」とTちゃんが答えると、

「チューリップかぁ、こーやんと一緒やなぁ、こいつもめちゃめちゃファンやねん。」

 

「へーえ香田クン、チューリップのファンなんだぁ。どんな曲が好きなの?」

 

(……音楽ちゅうたらキャロルやんけ、知らんがな……。) と思いつつも、

 

「……えっ、サ、サボテンの花!」

「サボテンの花?いいよねぇ、あの曲!ワタシも大好き、サボテンの花。

 ところで、こないだ新しいアルバム出たじゃない、もう聞いた?」

「えっ、ああ……、いや…それがまだやねん。…残念や…、まだやねん……。」

「ワタシ貸してあげよっか?明日持ってくるね!」

 

その日授業中は天国モード。放課後、さっそく鉄雄に言いました。

 

「あんなぁ、Tちゃんてな、もしかしてワシに気ぃあるんちゃうか?」

「…………。なんでそんな短絡的かつ楽観的な発想になるかな…………。」

「でもな、フツー見ず知らずの男に、大事なアルバム貸したりせんやろが?」

「見ず知らずちゃうやろ、クラスメートやろが!

 単なるクラスメートがやっと、『ちょっとした音楽ともだち』になったんや。

 ここからやで、戦略が必要になってくんのは。とりあえずチューリップを聞きまくれ!」

 

その日駅前のレンタルレコード屋(CDなどまだなかった!)で借りてきて、

家に帰って針を落とすと、こんな曲がありました。

 

  ♪ 真っ赤なくちびる  細い指先  どれもこれもがボクを苦しめる

    初めて会った時から 不思議な気持ちさ

    やっぱりあの娘は  魔法使い   

上目づかいに  見つめられたら どんな素敵な絵より 美しいんだよ

なぜかふるえてしまう  なぜか話せなくなる

やっぱりあの娘は  魔法使い      (あの娘は魔法使い より)  ♪

 

鉄雄のこと 番外編『恋の季節』 後編に続く

 

 

2011年07月15日 | カテゴリー:スタッフのらくがき帳

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