スタッフのらくがき帳

ある男のはなし    香田です!

「ブログを書くのも業務のひとつや。書かなあかんに決まっとるやろが!」

 

店長のツルの一声で、スタッフブログから勝手に卒業しようとしていた

ボクのもくろみはあっさりと却下されました。

 

で、久々ですが、朝日新聞でその人の名前を眼にして、書きたくなりました。

ちょっといい話です。

 

京都は京福電鉄の車折神社駅を降りて神社へ行くと、

本殿の南東に『芸能神社』があります。

 

この芸能神社に約10年前の冬、一人の年配女性が何度も足を運んでいたようです。

 

………夫が無事撮影を終えられますように………

 

彼女の夫の名は、福本清三。東映のいわゆる『大部屋俳優』さんです。

 

皆さんは大部屋俳優がどんなものかご存じでしょうか?

 

ワキ役ではなく、端役です。

 

エンドロールに名前もありません。画面に映っているかどうかも定かではありません。

 

福本さんは、『5万回斬られた男』として、ごく一部のファンに熱狂的に支持されています。

 

『仁義なき戦い』で北大路欣也にピストルで撃たれるシーンなど、職人技です。

 

それでも福本さんは、一般的にはあまり知られていません。

 

『ラストサムライ』で、トム・クルーズに付きそう見張り役の寡黙な侍、と言えば

映画好きな人なら記憶にあるかも知れません。

 

大部屋俳優の福本さんが、なぜかハリウッド映画のキャストに大抜擢された。

 

それで奥さんは足しげく芸能神社に通い、撮影の無事を祈念していたのです。

 

こんな強烈なシンデレラ・ストーリーがあったら、

本来その後の福本さんの人生は大きく転換するはずです。

 

が、決してそうはならなかった。

 

たまに『ワキ役のワキ役』くらいでドラマや映画に出演していることもあります。

映画村で『福本清三ショー』も開催されるようにはなりました。

でもショーの中では、あいかわらず斬られ役です。

 

彼の場合『生涯大部屋俳優』に徹しようという強い意志のようなものすら感じます。

 

大部屋俳優とは、『スターさん』がいい『シャシン』を撮れるよう、

そのためだけにある存在。

 

油絵を描く時、発色が良くなるようにキャンバスに塗る下塗りと同じです。

下塗りの絵の具は、決して表面に出てくることはありません。

 

ところでこの福本さん、芸能神社に参拝したことはないそうです。

 

「ワシみたいな役者が芸事の神様にお参りできるかいな……恥ずかしゅうて」

 

福本さん、カッコ良過ぎます!

2012年11月29日 | カテゴリー:スタッフのらくがき帳

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